清水北山好会

測地系について

GPSを使って野山を歩くのは、大変楽しいものですが、「測地系」ということを知らずに使っていると、約400mの誤差があることに気付かない場合があり、大変危険です。
これはGPSを使うと危険が増すということではありません。
また、紙の地図を使っていれば測地系について無知であっても構わないということでもありません。

測地系について

紙地図も変わりつつあります。今まで日本の地図は明治以来「日本測地系」で測量され、図形化されてきました。2005年12月1日から日本の地図はそれまでの日本測地系から世界共通の物差しである「世界測地系」の地図に切り替わりました。

しかし、既に発行されてしまった地図や建設されてしまったモニュメントなどは簡単には変更できませんから、当分の間は日本の地図やモニュメントには日本測地系と世界測地系が混在することになります。

日本測地系と世界測地系の間の誤差がはっきり分かるモニュメントの例

日本測地系と世界測地系の間には、大雑把に言って400m余りのズレがあります。
北海道と大潟村を旅しているとき、この違いがはっきり分かるモニュメントに出会いました。

北海道サロベツ原野の海岸線を走るオロロンラインという直線道路に北緯45度のモニュメントがあります。たった1軒の食堂「地平線倶楽部」から北に約500m行ったところにN字型のモニュメントが建っているのですが、数100m手前で45度00分00秒になってしまいました。
モニュメントの前で、試しに日本測地系に切り替えてみたら、ぴったり45度になりました。つまりこのモニュメントは日本測地系で建てられたものだと分かりました。

もう一箇所、秋田県大潟村の田んぼの真ん中に、北緯40度と東経140度が交わる交会点があるのですが、ここでも、下記の写真のように世界測地系ではずれて表示されました。
もし、山の中で自分の位置を測定しているときに、この測地系を間違えると、約400mの誤差になり、遭難につながる場合があるかも知れません。

  • たった1軒の食堂、地平線倶楽部

  • 数100m手前で45度00分00秒になってしまった

  • 北緯45度のモニュメントと利尻島

  • 日本測地系に切り替えたらぴったり45度

  • 北緯40度のモニュメント

  • 8.8秒違っている

  • 東経140度のモニュメント

  • まだ14秒足りない

  • 世界測地系の東経140度ラインはここ。

  • かなり遠くに日本測地系の東経140度ラインのモニュメントが見えています。

GPS使用上の注意

日本測地系と世界測地系の間の約400m余りのズレについては、カシミールのサイトの「3.何が変わるの?」に、分かりやすく書いてあります。
要するに、緯度経度の数値を扱う場合は、それが世界測地系の数値か、日本測地系の数値かをはっきりさせなくてはならないと言うことです。

また、GPSに表示された現在地の緯度経度を基に、紙の地図上で現在地を確認する場合は、緯度経度のデータ地図の両方が同じ測地系であることが特に重要です。
測地系が違うと400m余り違う場所を地図上の現在地と錯覚し、遭難の危険性さえあります。

日本測地系と世界測地系についての詳しい解説は、国土地理院の測地系についてのページをご覧いただくのが一番です。

地図をインストールしてあるGPSやスマホの場合は、この測地系について気にする必要がなくなります。また、GPSを使えば簡単に測地系の切替えも行えます。(緯度・経度の数値変換が行えます)

ハンディGPS or スマホGPS は常に自分の位置を表示している地図です

ハンディGPSやスマホGPSは基本的に常に現在地を表示している便利な地図という位置付けです
GPSを持っていても故障や電池切れ対策などのために紙地図を持参されることは、お勧めしますが、それは非常食と同じで、GPSが使えないときの非常対策です。紙地図の方が優れているという意味ではありません。
紙地図を使う場合、先ずは紙地図上に自分の現在地を探すことから始めます。それから進むべき方向が分かる訳です。
GPSは、この最初にするべき自分の位置の同定は、既にGPSが実施済みですから大変便利なのです。
安易に機械を頼らず、読図の訓練を必要とする紙地図を読めることに登山暦に裏打ちされた価値があるというお考えの方もあると思います。趣味の世界ですから、人それぞれのお考えのままで良いと思います。

夏山の場合は登山道がありますから、紙地図上に点線で描かれた登山道の上にいることだけははっきりしているので、多少周りの景色や起伏が見えれば簡単に現在地を同定できますが、雪山の場合は登山道の上にいるとは限らないので、周りの景色と起伏だけで現在地を知ることはかなり難しい場合があります。
特にホワイトアウトなどで遠くが見えない場合は相当困難です。

こんな時、常に現在地を表示している地図を持っているということは大変心強く思います。
機械ですから当然故障や電池切れもありますから、紙地図が不要だとは思いませんし、読図の訓練も大切だとは思いますが、時代の進歩を軽視することなく、有難く受け入れようと思っています。

新しい道具を使って楽しみましょう

携帯電話の進歩には、めざましいものがあります。
若い人は、どんどん新しい携帯電話に買い替え、新しい機能を使いこなして楽しんでいます。
それを見ていると、時代を変えていくのは若い人なんだなあ・・・・。と、頼もしく思います。

時代は否応なしに進歩(変革)して行きます。それを否定的に捉えるか、肯定的に捉えるかは、多分年齢に大きく左右されるのではないかと思います。
動物は子供のときに学んだ『この世の生き方』で、その生涯を生きようとするものです。人間以外の動物は多分それで充分一生を全うできるものと思います。
しかし、人間社会は人生が長すぎるのか、変革が早すぎるのか、一生の間に子供のころ学んだ『この世の生き方』が通じなくなる変革が何度も訪れます。
齢をとっていればいるほど、その隔たりには大きなものがあり、時代について行くのが困難に感じます。
そして新しいものには抵抗感を覚えます。

TVが普及し始めたとき、『一億総白痴化の時代』と言われ、否定的な見方もありました。
車やパソコンの普及時期にも否定的な見方はありました。

新しい物に抵抗感を持って尻込みすることなく、積極的に取り入れて楽しみましょう。

サブメニュー

ほかの参考サイト

ページのトップへ戻る