清水北山好会

GPSについて(原理)

GPSは Global Positioning System の略で「全地球測位システム」と訳されています。
既にカーナビなどでお馴染みですし、最近ではスマートフォンにも組み込まれていて、たいへん身近な存在になりました。
このGPSは、アメリカが軍事目的で開発した高精度な航法用人工衛星を利用した測位システムで、地球上のどこにいても自分の正確な位置をリアルタイムで知ることができます。この便利なシステムを利用料も払わずに利用できることは大変すばらしいことです。

1.原理

GPS衛星は、高度約2万kmの6つの軌道上に各4個、合計24個が配置され、各衛星は1日2周していて地球上のどこからでも常に最低4個の衛星が捕捉できるようになっています。
そのGPS衛星からは非常に正確な時刻情報と衛星の軌道情報(アルマナックデータ)が送信されています。GPS受信機は衛星から送信された衛星の位置データと電波が届くまでの伝播時間から自分の位置を計算します。原理的には3個の衛星からの電波を受信し、それぞれの距離を計算すれば3次元的な位置が特定できるはずです。

しかし、実際には電波が衛星からGPS受信機に届くまでの伝播時間は、GPS受信機に内蔵されているあまり精度の良くない時計では正確に測定することはできませんから、正確な距離も計算できません。
計算結果には内蔵時計の誤差分の距離の誤差を含んでいる訳です。(電波の速度は30万km/秒ですから、1/1000秒の誤差でも300kmの誤差になってしまいますから、到底使い物になりません)

そこで4個目の衛星の電波を使って誤差を補正します。
先の誤差を含んでいる仮の位置まで、4個目の衛星の電波が届く時間は衛星の位置・高度(軌道情報)が分っているので計算できますから、実際に測定した内蔵時計の時間と比較すれば、内蔵時計の誤差が分ります。
つまり、あまり精度の良くない内蔵時計の誤差を、衛星の非常に正確な原子時計で校正できたことになり、各衛星からの電波の正確な伝播時間が分りますから、正確な3次元位置を計算できるわけです。
簡単に言ってしまえば未知数が4つ(緯度、経度、標高、正確な時間)ですから、4個の衛星からの電波の伝播時間で4元連立方程式を解けば良いことになります。

余談ですが、上記の原理からGPSを持ち歩くことは衛星の原子時計で校正された非常に正確な時計を持ち歩くことにもなる訳です。
余談の余談ですが、GPS衛星に積んである原子時計はアインシュタインの特殊相対性理論による『高速で運動する物体の時間はゆっくり進む』という理論に従って、その誤差を補正しているそうです。(GPS衛星は秒速4km。この相対論的補正をせずに1日放置すると、位置情報が約11kmもずれてしまうそうです。)
このことを知って以来、常識では理解し難いアインシュタインの相対性理論(時間は絶対不変のものでなく速度と重力によって伸び縮みする)が急に身近に感じられるようになりました。
我々凡人の生活にはニュートン力学の精度で充分で、相対性理論の精度を必要とするのは科学者だけかと思っていましたが、我々の生活も既に相対性理論の精度を必要とするレベルにまで足を踏み入れていることに、新鮮な驚きを覚えました。

2.GPSは標高測定が苦手(?)

私たちが知りたい山の高さ(標高)は、言うまでもなく海面からの高さです。
ところがGPSで高さを測定するということは、実は衛星の軌道の中心(=地球の中心)からGPS受信機までの距離を測定することになるのです。
そこで、この測定結果から地球の半径(地球の中心から海面までの高さ約6378km)を差し引くことで海面からの高さ、いわゆる標高を計算しているのです。

ところが話はそう簡単ではないのです。地球が理想的な球体や理想的な回転楕円体の場合は、確かに上記の計算で求められますが、実際の地球は重力の強い場所や弱い場所があるらしく、潮の満ち干を考慮した平均的な海面の高さは場所によって凸凹しているようなのです。(国土地理院:ジオイドとは参照
そこで、この重力の差を考慮した値(ジオイド高)が予め測定してあって、その値を先にGPSが計算した地球の中心からの距離から差し引いて標高を計算しているのです。(標高=楕円体高-ジオイド高)

GPSで標高を測定する場合、その場所の重力による誤差が正確に分かっていない限り、正確な標高は分からないのです。これは原理的にGPSは標高を測定するのが苦手だということです。
(注 : GPSにはこの誤差について既に考慮されていますからユーザーは何もする必要はありません)

3.GPSの種類

私が今までに使ってきたGPSは、ハンディGPS専用機が5種類と、スマホのGPSです。
最近では、専用のハンディGPSよりも、スマホGPSを使うことがほとんどです。
GPS専用機をこれから新しく買う必要は全くないと思っています。


  • スマホ gpsloger

  • スマホ gpsloger
    表示例

  • スマホ geographica
    表示例

  • GARMIN
    LEGEND-HCx
    (日本語・カラー)

  • GARMIN
    LEGEND-C
    (日本語・カラー)

  • GARMIN
    LEGEND
    (日本語)

  • GARMIN
    VENTURE
    (英語)

  • SONY
    PCQ-HGR3S

専用のハンディGPSは1個数万円もしますが、スマホGPSはスマホに組み込み済みのハードウェアに無料の測定用のアプリをダウンロードして利用しますから、初期投資はほぼゼロです。

しかも、スマホ内臓のGPSとGPS専用機(GARMIN Legend-C)を比較してみた結果、両機の差はほとんど認められませんでした。(参照:GARMIN GPS と スマホGPS の比較

スマホGPS用のアプリは無数に公開されています。どれが自分の目的に合ったものか、正直いって迷います。
最も簡単に、GPSを使って歩いた軌跡(ログ)を取得し、そのログを公開するには、山専用コミュニティサイト「ヤマレコ」のアプリが手っ取り早いと思います。

しかし、当サイトのように、自分のホームページに登山記録やウォーキング記録のログを掲載したり、データを加工して利用しようという場合は、GPS専用機やスマホGPSアプリを利用した方が便利です。
スマホGPSアプリの設定については「スマホGPSLoggerインストール(GPSロガーAndroid 編)」または「スマホGPSの使い方(ジオグラフィカ 編)」をご覧ください。

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